2015年7月アーカイブ

<平和の礎、憲法9条は覆された!>

 昨日の特別委員会における強行採決に続いて、本日午後より開催された衆議院本会議において自民党・公明党や次世代の党によって可決されました。平和国家たる戦後日本の礎が、「憲法9条」が、あっけなく覆されたものであり、許されません。

 われわれは新たな「戦前」のただ中にいます。歴代内閣が禁じてきた集団的自衛権行使に道を開く法案です。憲法学者の大多数が違憲と指摘し、各種世論調査で国民の大半が反対する中での強行です。今は専制国家の時代でしょうか、ここは民主主義の国なのかと目を疑うほどの野蛮な光景でした。民意に背く強行は許されず、国の形を一変させる法案だからです。少なくともいったん解散し、国民の審判を仰ぐべきです。 


 <審議時間の偽装!>                                     
 与党は「過去の重要法案と遜色ない審議時間だ」と強調していますが、それは偽装にほかなりません。特別委員会での審議は110時間を超え、確かに過去20年で4番目の長さとなりました。しかし、法案は「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」の2本である。ことに前者は、周辺事態法や武力攻撃事態法など10本の法律の改正案を一つに束ねたものです。
 過去には、「武力攻撃事態法」や「国連平和維持活動(PKO)協力法」は単独で約90時間を費やしました。今回は、束ねられた法案もそれぞれ専守防衛の国是に風穴を開けるほどの内容であるのに、1本当たり実質的にたった数時間の審議で強引に可決したのである。

 時間だけでなく、論議の質が問題です。集団的自衛権行使の要件として安倍晋三首相は「存立危機事態」など新3要件を持ち出して「厳格な歯止め」を強調しましたが、要件は全て抽象的な言葉です。    

 何が対象になるか、首相は「手の内は詳細に言えない」と例示を避けました。憲法解釈も首相の胸先三寸で決まります。内閣が変われば、解釈も変わります。首相の胸先三寸で自衛隊が海外派兵されたり、されなかったりするのです。首相の胸先三寸で自衛隊員が「殺されたり」「殺したり」するのでしょうか。「法による統治」ならぬ「首相による統治」の国になります。どこに歯止めがあるか誰も分からない状態で、「審議を尽くした」と言えるはずがありません。

  わずかに示した例では、ホルムズ海峡のタンカーも対象と何度も述べました。経済的利益のために軍を出すわけです。地理的限界もないから地球の裏側にも出動可能です。後方支援だから安全と強調するが、他国軍に武器弾薬や食料も提供する「兵站(へいたん)」を受け持つのを参戦と見るのは国際常識である。参戦の機会を桁違いに広げておいて「わが国の安全が高まる」と言うのは、どう見ても倒錯の論理でしかありません。

  大戦後の集団的自衛権行使の例を見ると、ハンガリー民主化弾圧、ベトナム戦争、プラハの春弾圧と、全てが大国による小国への軍事介入でした。行使が相手国の怨嗟(えんさ)の的となるのは想像に難くありません。その結果、米国をはじめ英・仏・独などのように日本もテロの標的となることは必至です。国民の安全どころか、国民の命が狙われるのです。


 <国民理解の結果>                                      
 この集団的自衛権行使容認で、米国が日本に米国の戦争の肩代わりを求めてくるのは火を見るより明らかです。日本は戦後、米国の武力行使にただの一度も反対したことがありません。徹頭徹尾、対米従属の国が、今後は突然反対できるようになるなどとは考えられません。

                          
 首相は明言しませんが、専門家は、集団的自衛権行使の「本丸」は南シナ海での米軍の肩代わりだと指摘しています。ベトナムやフィリピンの近海に自衛隊が出動するのです。日中間の偶発的衝突の危険性はにわかに現実味を帯びるのです。

 与党はよく「国民の理解が進んでいない」と言うが、言葉の使い方がおかしいのです。各種世論調査を見ると、審議が進むにつれ法案への反対は増えているのです。理解が広がらないどころか、国民はむしろ、政府の説明に無理があると知り、法案の危険性を「理解」した結果、反対を強めているのです。

  衆院可決から60日を経て参院が採決しなければ、衆院で再可決してよいとする暗黙の了解が、国会のルールにされている。今回の強行採決がこの「60日ルール」から逆算してなされたのは間違いありません。
 こんな単なる数合わせで戦後日本の在り方を根本から変えていいのでしょうか。このままでは参院の審議もまともになされるとは考えられず、やはり廃案にするしかありません。
 

 

  衆議院特別委員会での採決は許されない!

  <参考人質疑に続き、「安保」公聴会でも「違憲」の指摘!>                    

 衆院特別委員会の中央公聴会では、政府提出の安全保障法制関連法案は憲法違反、との指摘が公述人から相次いだ。先般の参考人質疑に引き続いてのことであり、政府・与党はなぜ合憲性に対する疑義を顧みず、採決に踏み切れるのか。安倍政権にとっては単なるアリバイづくりにすぎないのではないか。

 安保法案を審議する衆院平和安全法制特別委員会がきのう開いた中央公聴会では、5人の公述人が法案について意見を述べた。与党推薦の2人が国際情勢の変化を理由に法案に賛成の旨を述べたが、野党推薦の3人は                             「歯止めのない集団的自衛権行使につながりかねない」(小沢隆一東京慈恵医大教授)「集団的自衛権行使が必要なら改憲手続きを踏むべきだ」(木村草太首都大学東京准教授)「専守防衛を逸脱する」(山口二郎法政大教授)とそろって法案の違憲性を指摘した

 参考人質疑では、3人全員が「違憲」であるとして廃案を求めた。沖縄などで開催された参考人質疑では多数が反対し「廃案」を求めているが、賛成の意見を述べながらも慎重に審議すべきと注文をつけている。その後も憲法学者や弁護士などの専門家は「違憲」であるとして廃案を求めてきた。この流れは止めようがない。又、歴代の内閣法制局長も揃って「違憲」と指摘している。   

 法律が憲法に適合するか否か最終判断するのは最高裁だが、憲法学者ら専門家の多くが「違憲」と指摘している事実は無視できない。国権の最高機関の場で公述人が述べた意見を真摯(しんし)に受け止めようとしないのなら公聴会開催の意味は喪失する。                            
 法案採決の前提とされる中央公聴会を終えたことで、与党側は早ければ15日に特別委で、16日に衆院本会議で法案を可決し、参院に送付したい考えなのだろう。


 安保法案は、歴代内閣が違憲としてきた集団的自衛権の行使に一転、道を開き、海外で戦闘に巻き込まれる危険性も高めるなど、戦後日本の専守防衛政策を根本から変質させる内容である
 専門家に限らず、法案に対する国民の目は厳しい。法案は違憲であり、政府側の説明も不十分で、今国会で成立させるべきでない、というのが、報道各社の世論調査に表れた国民多数の意見である。

 法案の審議時間は100時間を超え、菅義偉官房長官は記者会見で「維新の党の対案も出され、論点がだいぶ整理されてきている」と週内の採決に期待感を示した。
 しかし、これだけ審議時間を重ねても違憲の疑いを払拭(ふっしょく)するには至っていないのが現実だ。
法案の必要性や妥当性についても、国民が納得できる説明をできないのは、この法案自体に欠陥があるからであり、政府の答弁が曖昧模糊としていることを国民が見抜いているのである。            
 「違憲」「欠陥」法案の採決を中央公聴会が済んだからといって強行すれば、政治に対する国民の信頼を著しく損なうことは明白である。政府・与党が今、決断すべきは採決強行でなく、法案の撤回、廃案である。