2016年11月アーカイブ

   巻 頭 言     < 第10回総会の成功を! >  
                   護憲ネットワーク北海道・共同代表 吉 井  健 一

   ~~~~改憲を巡る情勢~~~総会議案から!~~~


 現在、我々は「改憲」前夜に追い込まれています。71年間維持してきた

憲法が、「解釈改憲」に止まらず「明文改憲」され、「戦争のできる普通の

国」にされようとしているのです。護憲ネットワーク北海道としても結成の

原点に立ち返って「改憲」阻止のたたかいに立ち上がらなければなりま 

せん。また、「戦争法」制定に先立って「特定秘密保護法」制定、日米ガ

イドライン先行改訂、防衛予算増額などが行われました。さらに原発再

稼働、沖縄辺野古新基地建設強行・高江ヘリパット建設強行、福祉予

算の切り捨て、教育の国家主義化、労働法制の改悪など我々の生活

に直結する「憲法破壊」が強行されました。このことを再認識し、怒りを

共有しなければ護憲ネットワーク北海道の前進はありません。

 今総会では、この厳しい情勢を共有するための機会として位置づけ

議論の深化を要請致します。


 安倍首相は自らの自民党総裁の任期延長(安倍政権の延命)を企図

して「解散風」を吹かしております。2014年の衆院選は一票の不平等を

「違憲状態」との最高裁判決を受けており、改正公職選挙法による新小

選挙区割りに移行せざるを得ないとされるのは6小選挙区及び4比例代

表議席とされています。この小選挙区割などの調整は現職議員の利害

関係など困難を極めることから現小選挙区割りで解散しようとするもの

です。このように党利党略による解散は「違憲状態」を再現するものであ

り、許されません。 

 「改憲議論」を深めることとなる憲法審査会は役員交代後、開会に向け

て与野党の調整が難航しておりましたが、衆議院憲法審査会の開会を

11月10日、17日と決定しました。10日には「憲法制定の経過」を、17日

には「立憲主義」をテーマに議論が進められます。自民党の「押しつけ憲

法論」を明確に批判しきることが野党の課題ですが、公明党が「米国の

押しつけではない」と党内で確認されたことにより与党内の憲法観の違

いが浮き彫りになり議論がいっそう深まることを期待できるでしょうか。

 また、「立憲主義」をテーマにした中で、違憲批判をどこまで国民の前

に明示できるか否かが焦点です。


  「改憲」についての世論調査(共同通信、8月~9月)では、安倍首相

の下での改憲に55%が反対し、賛成の42%を上回っております。国民

の間に広く存在する「集団的自衛権の行使容認」に象徴される安倍政権

の「非立憲主義」に対する警戒心をさらに広めることが肝要です。

 憲法審査会に求められているのは、「改憲議論」ではなく、憲法の意義

であり、現行憲法の各条文にはどんな背景があり、どんな思いが込めら

れているのか、現状との乖離をどう考えるのかなどについて委員間で議

論を深めることではないでしょうか。

  安倍内閣やマスコミは尖閣諸島問題以来南シナ海への中国進出や

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)によるミサイル発射や核実験を「戦

争法」制定の理由として挙げてきたし、現在も一方的に断罪しています。

しかし、尖閣諸島については、日中平和条約締結時に双方で領土として

の主張をしないことを確認されている事項です。また、「拉致問題」やミサ

イル発射・核実験などを認める立場にないが、「朝鮮戦争」は終決してお

らず米国と朝鮮は「休戦中」です。米国は北朝鮮政府の破壊を狙って、

常に韓国・日本を巻き込んで政治的・軍事的圧力をかけてきました。北

朝鮮政府に核搭載ミサイルを向けてきたし、目の前で米韓・米日・米日

韓軍事演習を拡大・強化してきました。北朝鮮政府は、米国との間で

「休戦」を終了させ、平和条約を締結するための交渉のテーブルに着く

ために米国に働きかけてきましたが拒否された結果、現在は軍事的強

化を図っています。


 自衛隊は「戦争法」制定以前より、テロ対策訓練も含めて国内演習場

に限らず米国演習場などにおいて日米一体化を企図しての米軍指揮

下での日米共同軍事演習を強化してきました。また、装備の一体化も進

んでおり、一方的な自衛隊による米艦への燃料の海上補給、米機への

空中補給なども行われてきたことをも記憶にあります。このように「明文

改憲」の動向の裏側で「戦争」の準備が着々と整えられてきたことをも認

識する必要があります。


 11月20日から順次、陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊(青森駐屯

地)が強い反対の声を無視して既定方針通り南スーダンに派遣されます。

「戦争法」に基づく「駆けつけ警護」や「宿営地の共同防衛」が新たに任務

に加わろうとしています。また、新たに派遣される第5普通科連隊は、施設

大隊とは違い、戦闘部隊であることにも留意しなければなりません。


  南スーダンは、キール大統領派・政府軍とマシャール副大統領派・反

政府軍が激しく対立し、民兵も加わってどこから、誰が襲ってくるのかわ

からない内戦状態にあり、「PKO五原則」は破綻しており直ちに撤退す

べきです。

 <戦争させない1000人委員会>の提起による「19日行動」は全国的

に取り組まれており、札幌においても<戦争させない北海道委員会>

によって毎月大通公園を中心に開催され、集会後「戦争法」反対・廃案、

「殺し」「殺されるな」の声を挙げ市民にアピールしております。当会が事

務局を担っている<憲法9条を世界に広げよう、憲法を市民の手に取り

戻そう9の日行動>も毎月札幌駅西口紀伊國屋書店前でマイクで呼び

かけチラシを配布し市民に呼びかけています。


 「戦争法」反対の声の高まりによって衆議院北海道5区補選では野党

共闘が成立し、全国的な支援を得て勝利をめざして取り組まれました。

当会も賛同団体に加わり、それぞれがチラシ配布などの取り組みに協

力しました。その結果、当選は逃したもののもう一歩まで追い込むこと

ができました。


 この善戦や改憲議席三分の二を阻止しようの声の中で一人区で<野

党共闘>が成立しましたが、残念ながら改憲議席三分の二を許してしま

いました。安倍首相は選挙中には「改憲」については具体的な事項など

について何等触れなかったにも関わらず、この間「改憲」について国民

の信任を得たと強弁しており許されません。

 
 憲法81条は裁判所に<違憲立法審査権>を明示しておりますが、

「自衛隊イラク派兵違憲訴訟」における違憲判決以外明確な違憲判決

が出ておりません。「戦争法」反対・廃案の声が高まる中で弁護士を中

心に<安保法制違憲訴訟の会>が東京を始め大阪・広島・神奈川・埼

玉・福島・群馬・長崎・岡山・長野で結成され訴訟が行われております。

札幌においても弁護士を中心に学者・作家・医師・自衛隊員の母親・労

組活動家などによって<安保法制違憲訴訟の会・北海道>の結成と訴

訟準備が進められております。


  8月の明仁天皇による「生前退位メッセージ」は、現憲法下の象徴天

皇制の持続を願ったものです。安倍政権は「生前退位」特措法で安定的

継続を果たそうとしております。

 憲法は国民主権を原理としながらも第一章に天皇を置いていることが、

憲法の最大の矛盾です。天皇の「公的行為」は憲法の定めがないにも

かかわらず、このために国民は相当の人的、物的、財政的(税)負担を

余儀なくされています。天皇に基本的人権は存在せず、皇室典範に至

っては明治憲法の残照を含んでおります。これを機会に「万世一系」の

歴史を含めて第一章・天皇制を深く考えていくことが必要ではないでし

ょうか。


  「核と人類は共存できない」ことを再確認させたのは東電福島原発

事故です。<脱原発>の意識は広汎に拡がっていることを明らかにし

たのは新潟県知事選です。野党共闘の成果もありますが、自公推薦・

連合支持候補を打破したのは<原発再稼働反対>であったことは議

論の余地がありません。

「中央構造線}など全国に存在する震源が原発に与える危険性を指摘

するまでもなく、原発稼働による地域汚染による地域住民の健康被害

は少なくありません。核燃料サイクルの破綻を指摘するまでもなく、使

用済み核燃料=放射性廃棄物の滞積と最終処理方法の不確立など

再稼働の余地はありません。泊原発再稼働や大間原発建設反対の取

り組みは多くに市民の共感をよんでおります。安倍内閣による原発再

稼働・原発輸出などを許さず<脱原発>の実現をめざして取り組みを

前進させようではありませんか。


~~~~是非、第10回総会に参加されて議論を深めて戴けませんか。

         宜しくお願い致します。~~~~