護憲ネットワーク北海道とは

護憲ネットワーク北海道総会議案

はじめに

 世界経済は、サブプライムローンに端を発した金融危機が世界恐慌に発展しつつある。フランスやイタリアでは、政府の退職年齢引き上げや「削減第一」の予算安定化策などの権利剥奪や生活破壊政策に労働者や市民が抗議して大規模なストライキが連続して敢行された。世界労連は、EU諸国に拡がる緊縮財政・行政改革・公務員賃金カットや人員削減など経済危機を労働者の犠牲で乗り切ろうとする政権に反撃するために9月7日の国際行動デーの統一行動を組織し20ヶ国以上の労働者のストやデモを成功させている。また、欧州労働組合連合会(ETUC)も傘下各国組合に呼びかけて大規模なデモやストを組織した。スペインでは、二大労組(労働総同盟と労働者委員会)が支持する社会労働党サバステロ政権下において初めての激しいゼネストを組織した。航空、高速鉄道、鉄鋼、自動車などの主要産業の7割以上の労働者がストに突入したと報じられている。
 しかし、国内においては、一部を除いて労働者・市民の抵抗は皆無であり、社会不安を伴なって憲法破壊が急速に進められている。
 鳩山内閣を引き継いだ菅首相は、普天間基地移転について日米合意を基本とした辺野古新基地建設を強行しようとしているが、沖縄県民の総意は「国外・県外移転」であり、これを突き崩すことは困難である。この総意を実現するためにも知事選挙での勝利を期して支援活動が取り組まれている。
 又、「尖閣列島問題」を口実にした大規模な演習が実施されたり、沖縄への自衛隊の増強も検討されており監視しなければならない。ソマリア沖への海賊対策法としての「海賊対処法」は、実質的な自衛隊の海外恒久派兵法であり、「武器使用」や集団的自衛権の行使につながる可能性があることから、違憲立法である。「事業仕分け」がマスコミの報道もあって大きく取り上げられているが、「思いやり予算」なども含めて軍事費については、日米同盟との関連で聖域とされており批判を浴びている。財界や与野党から、武器輸出三原則や非核三原則の撤回を求める危険な議論が彷彿としており、両原則維持の<平和の声>を高める必要がある。
 沖縄の痛みを分かち合うとの名目により強制された「千歳基地への戦闘機訓練移転」は、最新鋭戦闘爆撃機の参加が相次いだり、規模を拡大しての日米合同訓練の実施など道民の反対の声を無視して強化されている。米海兵隊の矢臼別軍事訓練は、地元住民の夜間演習中止要求を無視して強行され、射撃訓練も昨年に引き続いて強行された。軍事演習による6度の火災発生もあり、自然を破壊し、地域社会をも破壊することから、反対運動を強化する必要がある。
 さらに、親睦・休養などを名目とした小樽・石狩・室蘭・函館などの商業港に米艦の入港が相次いでおり、北海道全域が軍事基地化されようとしており、反対運動を強化する必要がある。
 「年越し派遣村」は、大企業の横暴と労働者派遣法の無法性や憲法27条の勤労の権利の空洞化を白日の下に晒した。この様な中で労働者派遣法の「改正」に向けた論議が開始され不十分ながら「改正案」が上程されたが、参議院選挙の結果、成立が困難になった。円高によって年末や年度末に掛けて期間工・派遣労働者の大量首切りが予想され、彼等の食・住はさらに深刻化し、社会不安を増大させる恐れが大である。
 子ども手当が部分的に実施されたが、福祉予算の削減が継続され、制度改悪が強行される中で年金・医療が破壊され憲法25条の生存権が脅かされている。高校授業料の無償化が実施されたが、教育内容が不透明などを理由に不当にも朝鮮高校が除外された。これに対して、日本弁護士会・国連人権委員会などから実施勧告を受けるなど二重・三重の差別であるとして、多数の市民から批判を浴びており早期実施が当然視されている。
 教育基本法の改悪と関連法が強行され、児童・生徒には愛国心と競争が強制され、教師には「評価制度の導入」や「免許法の改悪」により管理統制がいっそう強化されており、「海外で戦争をする青少年」つくりが強制されている。北海道教育委員会は、北教組の政治資金問題に藉口して北教組壊滅を意図した「日の丸・君が代」実施通達・組合活動調査・道民通報制度を強行実施した。更に北教組方針の「改正」を条件とした交渉拒否を行った。教育現場は、前述した制度導入もあって「教育」そのものが窒息させられようとしている。
 70%を越える反対の中で昨年スタートした裁判員制度は、「国民の視点・感覚が反映」されるとしているが、死刑を含む重大事件の判断、審議過程を口外したら罰金・懲役などの罰則に見られるように憲法18条苦役の禁止、憲法19条思想・良心の自由を侵すものであり直ちに廃止されなければならない。「平成の大合併」と揶揄されているようにこの10年間で自治体数は半減し、自治体議員も大幅に減らされた。さらに財政悪化を理由に議員定数の削減が続いており、憲法92条~96条の「地方自治」は破壊された。国・自治体の財政赤字解決策として「道州制導入論」が勢いを増している。都道府県の廃止で自治体議員と公務員を大幅に減らせるし、国の事務の道州移管で国会議員は半分で足りるという乱暴な議論がある。小泉構造改革の結果、地域社会の崩壊はすさまじく憲法25条・生存権が脅かされている。高齢化社会の進行も相まって大都市(札幌市西区西野・江別市大麻など)の中においても交通・買い物などに困難を来す「限界集落」が出現してしており社会問題化している。<新たな公共サービス>について論議が始まっているが直ちに解決されることではない。
 財政赤字解消策の一環として、国会議員比例区削減が与野党から出されており、実現されると少数政党が排除され、改憲の道筋が付けられてしまうことから、統一した反対運動が開始されねばならない。

「国民投票法」施行と憲法審査会

 「国民投票法」が5月18日に施行されたが、公選法の選挙年齢や民法の成年年齢などとの整合性について法制審議会においての決着がついていない。同様に公務員・教員の国民投票法運動規制の問題も、国公法・人事院規則と地公法の政治的行為の制限規定を適用しつつ、国民の意見表明権や自由な勧誘の保障に配慮した基準などを講ずるとされていたことについても結着はついていない。しかし、一方では、昨年6月、自公が衆議院の憲法審査会設置規程が強行可決されている。現在、民主・自民両党は、参議院憲法審査会の規程作りに合意し、今国会中に決定しようとしている。
 「国民投票法」では、衆議院100名・参議院50名の賛同者で改憲原案を国会に提案できる。改憲原案は、衆参両院の憲法審査会に付託されることから、両院の運営規程が揃うと改憲の本格始動への道が開かれることになる。参議院選挙の結果、<護憲議席>の減少とみんなの党などの保守議席増が歴然としている情勢を背景に国民投票を具体化するための「憲法審査会」を発動させる策動が急速に活発化してきている。
 改憲・戦争勢力はあらゆる場においてあらゆる権力・金力を駆使して攻勢を強めており、平和憲法の危機はかってなく深まっている。反戦平和・護憲勢力は、情勢認識と危機意識を共通のものにし取り組みを強化しなければならない。前述したようにひとり一人の労働者・市民の生活の隅々まで憲法破壊が進んでいることを理解しやすい平易な言葉で明らかにしていくことが肝要である。
 護憲勢力の一翼を担わんとする護憲ネットワーク北海道もこの状況をしっかりと受け止め前進を図らなければなりません。